生理は世界中の人々に共通して起こる自然な現象でありながら、その向き合い方や社会的な受け止め方は国によって大きく異なります。各国の文化や経済状況、価値観が「生理をどう過ごすか」という日常のワンシーンに反映されています。
ここでは、欧米とアジアの中からそれぞれアメリカ・ドイツ・フィリピンを例に挙げ、各地の生理事情を比較してみましょう。
アメリカ
タンポンの使用率が高い

日本ではナプキンが圧倒的に主流であるのに対し、アメリカではモレにくい安心感からタンポンが定着しています。そのため、アメリカのドラッグストアやスーパーでは、タンポンがナプキンと同じ棚に並び、サイズや吸収量、素材など多様なバリエーションがそろっています。
また最近では、子宮口の近くまで挿入して経血を受け止める月経ディスクが、生理であることを忘れるほど快適だと人気を博しています。
このように、アメリカは新しい製品を柔軟に受け入れ、個人の快適さを重視する傾向が見られます。
生理の話題はあまりオープンではない

一方で、アメリカが「生理にオープンな国」と言えるわけではありません。
近年こそフェミニズム運動やSNSの影響で生理を恥じない文化が広まりつつありますが、職場や学校などでは依然として生理を公に語ることに抵抗がある人も多く、日本とさほど差がないとも言われます。
自由や多様性を重んじるアメリカであっても、「生理」というテーマにはまだ無意識のタブーが残っているのです。
ドイツ
環境大国で月経カップが多い

サステナブルな意識が高い国として知られるドイツでは、近年月経カップの利用者が増えています。
月経カップは医療用シリコンなどで作られた再利用可能なカップ型の生理用品で、使い捨てナプキンやタンポンに比べてゴミを大幅に減らすことができます。ドイツでは、ドラッグストアなど簡単に購入でき、エコ志向の人々を中心に広く受け入れられています。
鎮痛剤は処方箋が必要

ドイツでは、強い薬を手に入れるハードルが日本よりも高く、日本では薬局で買えるような鎮痛剤であっても医師の処方箋がないと購入できません。そのため、軽度の生理痛対策としてはハーブティーやアロマなど自然療法がよく利用されます。
特にカモミールティーは、体を温めてリラックスさせる効果があるとされ、薬に頼らずに体のバランスを整える文化が根づいています。
一方で、ピルの使用には比較的寛容であり、婦人科での相談も一般的です。 「自然と医療のバランスをとりながら生理をケアする」というスタンスがドイツらしさと言えるでしょう。
フィリピン
貧困層は生理用品の入手が困難

フィリピンでは、経済格差により多くの女性が「生理用品が手に入らない」という課題に直面しています。結果として、古着や雑巾を代用品として使用するケースもあります。しかし不衛生で感染症のリスクを伴い、深刻な問題となっています。
Angeliteの活動

こうした状況に対し、Angeliteは「すべての女性が自分らしく輝ける社会をつくる」という理念のもと、ファッションブランドとしての枠を超えて支援を行っています。具体的には、同じく女性支援を掲げるcoxco Labと協力して、フィリピンの女性たちに裁縫技術を提供し、彼女らが作ったポーチを販売しています。そして、その収益の一部を再び現地の教育・雇用支援に還元しています。
このプロジェクトは、現地の女性が安定した仕事を得るだけでなく、手に職をつけることで経済的自立を目指す仕組みを構築していることがポイントです。「生理用品を配る」という一時的な支援ではなく、「生理をきっかけに女性が自分の未来を切り開ける社会」を目指した、持続可能な支援の形となっているのです。
まとめ
世界各国の生理事情を比較してみると、文化や経済、価値観の違いが見えてきます。国や地域が違っても、生理にまつわる課題の本質は「誰もが快適で尊厳をもって過ごせるか」という一点に集約されます。
日本でも、少しずつ生理に対する理解が広がっています。世界の動きを知り、自分に合った方法を選びながら、すべての人が安心して過ごせる未来を目指していきたいですね。